明治新政府は、帝都「東京」を護るため、東京湾海防計画に取り組むこととなりました。
東京湾海防に属することは軍事機密であったため、多くのことは伝わっていませんが、さいわい大日本帝国陸軍築城部:『東京湾要塞築城史』が残されておりますので、主としてそれによりながら経緯を辿ってみることとしましょう。
東京湾海堡建設までのさまざまな検討
一方、陸軍の内部には、海堡ではなく、外国軍艦の侵入を防ぐための湾口堤防の建設を唱える声もありました。この間には、明治13年(1880)、3〜4トンの石で堤防を築き、波浪に対する安定実験を行ったりしています。お雇い外国軍人の意見を鵜呑みにせず、色々な検討を行っていることが分かります。
ともあれ、幕末の江川計画に始まり、明治初期のお雇い外国軍人の計画、陸軍内部のさまざまな検討を経て、ようやく東京湾海堡の建設が始まるのです。